「ステトスコープ・チェロ・電鍵」さんのブログから。こういう観点はとても大切だと思う。安部さんや麻生さんがちゃんと読んで理解できると良いのだが?読みもしないし、読んでも理解できないのではと心配。
社会的共通資本 現代思想 2015年 3月臨時増刊号に 宇沢弘文の「ケインズ=べヴァリッジの時代を振り返って」と題する論文が掲載されている(初出 現代思想 2009年5月号)。現在のわが国の医療、社会保障を考えるうえで貴重な論考だと思えるので、そのサマリーを以下に記す。 ~~~ 第 二次世界大戦下、時の首相チャーチルは、戦後の社会秩序を再建する方策・理念を検討するために戦後再建問題委員会を立ち上げた。そのなかで、社会保障と関 連サービスを検討する小委員会をベヴァリッジが主宰した。彼は、ケインズに助けを求め、優れた経済学者であった、高弟ミードに、その仕事が託された。ミー ドは、ケインズ主義的な財政政策を主張した。すなわち、医療を中心として、社会保障関係の支出は乗数効果が大きく、経済活性化・社会的な安定性維持の視点 から重要な貢献をする、との主張だ。その結果、すべての国民に対して、生まれてから死ぬまで国の責任で保証する社会保障制度の整備を、ベヴァリッジは勧告 した。 その勧告を受けて、1948年に発足したのが、ナショナル ヘルス サービスNHSであった。NHSは、すべての疾病に対して、無 償の医療サービスを提供した。NHSは創設以来しばらくは、人々から大きな支持を受けたが、やがて、財政的な理由から、政府は大きなコストのかかる医療設 備、病院、さらに医療スタッフの給与を極端なまでに切り詰めた。サッチャー政権が二期目に入ると、医療の市場原理主義的な「改革」が徹底して進められた。 一人の国民が死ぬまでにかかるコストを最小限にしようとしたのだ。Death Ratioの導入である。この考えは、ベトナム戦争でKill Ratio・・・一人のベトコンを殺すのに必要なコスト・・・を最小にするという米国の経済学者エントホーフェンの考えに基づいていた。医療スタッフへの 官僚的支配を強め、病院経営の徹底的な効率化を図った。この結果、多くの医師が海外に流出し、NHSは疲弊の極に達した。1990年代、サッチャー政権か ら、労働党のブレア政権になったときには、入院待機患者が130万人になっていた。ブレア政権は、当初5年間で総医療費を50%増やし、ついで10年間で 2倍にし、医師数も50%増やすことになった。だが、職業的倫理と志を回復することは不可能に近い。 ~~~ ...