確かに今年はワクチンを打ったのにかかってしまったという人が多かった印象はある。

神戸新聞NEXT  2015/4/2 23:16

A香港型インフルエンザウイルスの電子顕微鏡写真(米疾病対策センター提供)
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A香港型インフルエンザウイルスの電子顕微鏡写真(米疾病対策センター提供)
ワクチンを打ったのにインフルエンザにかかってしまった。今冬はこうぼやいた人が例年より多かったかもしれない。世界保健機関(WHO)の予測と 違うウイルスが北半球の流行で主流となったためだ。通常は平均50~60%とされるワクチンの効果が、米国では19%、英国では3%などと報告された。日 本は欧米と違うウイルスでワクチンを製造したが、国立感染症研究所の分析では効果が低い可能性が示された。専門家はそれでも「重症化予防にワクチンは重 要」と強調する。
 国内のインフルエンザ流行は昨年11月下旬に始まり、今年3月8日までに全国で推定約1395万人が医療機関を受診した。この時期までの累計受診者数は過去4シーズンで最も多かった。
 日本のほか北米、欧州などで流行の中心になったウイルスはA香港(H3N2)型。高齢者が重症化しやすいとされる。
▼遺伝子が変化
  WHOは日本を含む各国の専門家を集めて昨年2月に開いた会議で、今冬のワクチンに加える推奨ウイルス株を選定、欧米はそれに基づきワクチンを製造した。 A香港型も含まれていたが、実際の流行で主流になったのは推奨株とは特徴が異なるウイルス。ワクチンの効果が不十分になる恐れがあるため、米疾病対策セン ターは12月、ワクチンとずれたウイルスが広がっていると医療関係者に注意喚起した。
 日本はワクチン製造で欧米とは違う株を選択した。A 香港型は鶏卵を使ってワクチンを製造する過程でウイルスの遺伝子が変化し、ワクチンの効果の低下につながりやすいという問題が指摘されていた。このため感 染研の小田切孝人インフルエンザウイルス研究センター長らは、同じA香港型でWHOの推奨株と遺伝的には極めて近いが、製造過程では変化しにくい性質の株 を探し出して採用した。
▼抗体反応試験
 これでワクチンの効果が保たれることが期待されたが、 ワクチンでできた抗体が流行株の増殖を抑えるかどうか各地から集めた80株について反応試験をしたところ、十分な反応が見られたのはこのうちの36%にと どまった。米国がWHO会議で報告した同様の試験の結果は30%で、大きな差はなかった。
 米国は患者らを対象にした調査も進め、3月にワ クチンの効果は19%との中間報告を発表した。ワクチンの効果は患者の年齢や持病など他の要素にも左右されるため、日本で本格的な臨床研究をしないと正確 な効果は分からないが、小田切さんは「抗体との反応試験から推定すると、日本のワクチンの効果も低かった可能性がある」と話す。
▼約4割が接種
  国内のインフルエンザワクチン接種者は推定5千万人超。人口の約4割に上るが、効果をめぐる誤解も多い。感染の完全な阻止はできず、期待できるのは発病や それによる受診を減らすこと。それも平均50%程度とすると「打ったのにかかった」は当然ある。最も重視されるのは高齢者や持病のある人の重症化リスクを 減らす効果で、専門家によると、ワクチンが流行株と一致していない場合でも多少の防御効果はあるとみられる。
 感染症対策に詳しい岡部信 彦・川崎市健康安全研究所長は「インフルエンザワクチンに限界はあるが、ハイリスクの人の重症化を防ぐツールとしての重要性は変わらない」としつつ、「今 冬の医療現場には、接種済みの受診者が多いという実感から『ワクチンの効果が低いのでは』という声があった。流行株がワクチンとずれていることをシーズン 中に早めに注意喚起すれば、治療で医師が参考にできる。日本でもこうした方法を可能にすべきだ」と話している。

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