今朝のNHKニュースで

 今朝のNHKニュースで新型インフルエンザワクチンについて話していました。要約すると新型インフルエンザワクチンを優先順に打ち始めたところ、第1位の医療関係者が想定以上に申し込みをして第二位以下に回すワクチンが足りなくて困っているという趣旨でした。
 単純に考えると現在日本には医師免許、看護師免許を持っている人は230万人いるそうですから、厚生労働省が計画した医療従事者100万人という想定から少なすぎるのではないかと思われます。中小の医療機関では医師・看護師・医療事務の3~4人で診療を行っているところがかなりあるはずです。最初に新型インフルエンザの患者さんに対応する医療事務の方が倒れれば即診療に支障を来します。そう考えれば受付の方々にワクチン接種をするのは当たり前のことです。
 従って厚労省の医療従事者100万人説は大いに疑問です。当院の例をとっても医療従事者用といって割り当てられたワクチンは1本(1回打ちで2人分)でした。看護師さんと受付担当の医療事務さんに打ってあげました。(診療に当たる医師である私はワクチンがなくて未だに接種できていません)(さらにいわせてもらえばここのところ毎日4~5人は新型インフルエンザの患者さんが見えています。)

 こういったニュースは何にもわからず下調べもせずに流しているのか、あるいはすべてわかっていながら意図的に誤った情報を流しているのかいずれにしても恐ろしいことです。

 書いているうちにだんだん怒りがこみ上げてきました。ついでにもう一題。

 今日の日経に開業医の給与が勤務医に比べて高い、だからよく働いている勤務医の給料が上がるように次の医療費改定では病院の医療費が高くなるように設定するとの意味の記事が載っていました。毎度医療費改定の年になるとこの記事がいろいろなメディアで取り上げられます。
 この指摘には理論的に矛盾がいっぱいあります。一番簡単な問題は、病院の診療報酬があがったら勤務医の給料が上がるかといえばあり得ません(病院はぎりぎりの状態です。わずかな診療報酬Upでは今までのマイナス分を埋めるだけで精一杯でしょう。開業医でも個人事業としてみなければいけませんから同じ事情です。)。介護報酬をあげても介護スタッフの給与が上がらなかったのと同じです。元々の診療報酬が低すぎて医療者のサービス残業のような勤務体系でかろうじて成り立っていることを言わずに医療費抑制にばかり矛先を持って行っている作為が感じられます。
 世界最高水準の医療の提供を受けていながら、最低に近い医療費を押しつける日本という国にほとほと嫌気がさします。医療費は勤務医のために上げ、開業医を下げるというのではなく、全体にあげ、特に病院に厚くと言うのなら理解できます。

 この二題は政策決定側が意図的にメディアに流しているのか、メディアもすべてわかっていて流しているのかわかりませんが、巨大な悪意を感じます。

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