ついに死者27人に
【韓国MERS】「医療ショッピング」で感染拡大か 病院渡り歩く医療文化 WHO事務局長が指摘
ソウル市内の病院に設置された、体温を測定するサーモグラフィー=12日(画像の一部をモザイク加工しています・聯合=共同) |
韓国では、体調不良の人が治療を受けても軽快しなければ「病院に問題がある」と考え、次々と受診先を変えることがよくある。13日に中部 世宗 (セジョン) の保健福祉省で会見したWHOのフクダ事務局長補はこうした慣習を「医療ショッピング」と呼び、感染拡大を助長した可能性があると指摘した。
今回も、中東で感染し帰国した最初の男性患者(68)は8日間に2泊の入院を含めて4カ所を回り、うち3カ所で同室の患者や医療関係者計38人が 感染。この男性から感染した別の男性(35)はその後1週間に2カ所で受診し、2番目のサムスンソウル病院では60人以上の3次感染者が出た。
感染者らはさらにほかの病院も訪問。サムスンソウル病院のように大量の感染者が出る可能性があると指摘されている医療機関は3カ所ある。
▽失敗
政府が感染者の出た全医療機関名を公表したのは7日。最初の感染確認から19日目だった。この日まで感染の可能性がある病院に行った人も危険を自覚できなかった。
合同調査団は韓国政府の初期対応を「失敗」とした。調査団の韓国側団長イ・ジョング氏は「透明で迅速な情報公開が最も重要だが、これ(をしなかったこと)が失敗の原因の一つだ」と言明。地方自治体との連携にも問題があったと述べ、政府の対応が事態を悪化させたと認めた。
病院経営に影響するとして病院名公表を拒んだ政府は世論の批判に耐えられず方針を転換。サムスンソウル病院は韓国最大の財閥サムスングループに属し「政府はサムスンに気を使って国民を危険にさらした」(40代主婦)との声が出るなど、国民の不信は根強い。
▽隔離徹底を
調査団は現時点での韓国政府の対応について「感染拡大をコントロールする能力が相当強化されている」と評価した。
ただ「状況はいつでも変わり得る」とも警告。感染の恐れがある人の割り出しと隔離を徹底し、特に旅行制限を確実に行うよう政府に注文し、国際社会と緊密な情報交換に努めるよう求めた。(ソウル共同=粟倉義勝)
(共同通信)
2015/06/14 10:57