三価から四価といってもそういう深い話があったとは。

B型2種、何が変わる【時流◆インフル4価】

「当たれば幸運」から「確実な備え」に
M3.com  2015年9月30日 (水)配信
2015-16年シーズンから、インフルエンザウイルスに対するワクチンがA型2種類、B型2種類の4価に変更される。
従来の3価との違いはB型ウイルスに対する守備範囲が広がることだが、安全性に変化はないのか。
【時流◆インフル4価】では、4価導入の経緯と得られる便益、予測される安全性、そして接種料金の変化について4回シリーズで動きをまとめる。
まとめ:軸丸靖子(m3.com編集部)
「時流◆インフル4価」
  • Vol.1 B型2種、何が変わる
混合流行では予測当たっても50点
まずインフルエンザワクチンの中身が決定される毎年の流れを簡単にさらおう。
 インフルエンザワクチンに何のウイルス株を入れるかは、毎シーズンの世界保健機関(WHO)の推奨を基に各国で決定されている。北半球の場 合、WHOで推奨株が決定されるのが2月ごろ。それを受けて厚生労働省健康局長が国立感染所研究所所長にウイルス株の選定を依頼し、同所長が「インフルエ ンザワクチン株選定のための検討会議」を招集するのが2-3月。最終的に厚労省からの通達が出るのが5月上旬だ。ここから国内4社のワクチンメーカーが一 斉に製造に取り掛かり、製品検定を経て各医療機関に納入、10月に全国で接種が始まる。
 昨シーズンまでの3価ワクチンには、A型であるパンデミックH1N1およびH3N2、そしてB型であるビクトリア系統あるいは山形系統のいずれかから1種類ずつ、計3種類のウイルスが入っていた。
 A型が2種類と優先されたのは、(1)ワクチンに入れることができる総蛋白量に上限がある、(2)発症あるいは重症化する患者はB型よりA型で多いという臨床的な印象がある、(3)B型はA型に比べ免疫原性の獲得効率が悪い――などが理由になったとされる。
 「全部入れられない以上、効率の悪いB型は予測に基づいてどちらか片方だけ入れる」ことになっていたわけだが、国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長の小田切孝人氏によると、この「B型は予測に基づいてどちらか片方」というのが難題だった。
 過去10シーズンの予測と実際の流行を付き合わせてみると“的中率”は5割。どんなに緻密な分析を行っても、山形系統とビクトリア系統のどち らが流行するかの予測確率を上げることはできなかった。同じB型だからどちらか一方を打っておけば他方もある程度予防するといった交叉免疫もなかった。
 さらに悪いことに、2011-12年シーズン以降のB型は山形系統とビクトリア系統の混合流行が続 いた。2系統とも流行するとなれば、どちらが流行するかを予測したところで仕方がない。「予測が当たっても当たらなくても50点ということ。これでは何も 予測していないのと同じ。この状況を何とかしたいというときに、2系統あるならば両方入れれば良い、というのは自然な結論だった」と小田切氏は解説する。
生物学的製剤基準の改訂で整った状況
こうした流れを受け、WHOもインフルエンザワクチンを4価にする方向に動き出した。2013年9月の南半球用ワクチン株推奨会議からは「4 価にするのであれば」という前提で、A型2種類、B型2種類のウイルス株の推奨を開始。これを受け、米国では2013-14年シーズンから経鼻型(生ワク チン)で4価ワクチンの供給が、翌2014-15年シーズンからは注射型(不活化ワクチン)での供給が始まった。
 日本はこの時点で、4価ワクチンを導入する準備はできていなかった。生物学的製剤基準でワクチンウイルスに入れることができる総蛋白量が 「1mL中240μg以下」と定められており、この改訂が必要だったためだ。従来の3価ワクチンの総蛋白量は190-210μg/mLほどで、基準の改訂 なしにもう1種類を加えることはできなかった。
 そこで「インフルエンザワクチン株選定のための検討会議」は2014年から4価ワクチン導入について議論を開始し、2015年度からの導入を 推奨する内容を厚生科学審議会予防接種分科会に答申。これを基に2015年5月8日、今シーズンからの4価ワクチン導入決定通知が出された。併せて生物学 的製剤基準も改訂され、総蛋白量の上限は「1mL中400μg以下」に引き上げられた。B型を2系統ともカバーするワクチンの導入が、これで決まった。

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