本当のところどうなんでしょう?

「今、国民、私も含めて不安を感じるのは、放射性物質に関する定点の情報が発表されていないため。高い値が観測された地点だけがセンセーショナルに報道さ れている。正確で 経時的な定点情報が出されていれば、国民はそれほど慌てない。国立がん研究センターとして、国民の視点に立ってエビデンスに基づいた情報を発信したい」と語る嘉山孝正氏。 SonetM3編集部
3月28日、国立がん研究センター理事長の嘉山孝正氏は緊急記者会見を開いた目的をそう語った。嘉山氏が「エビデンス」と語るのは、『国立がん研究センター中央病院(東京 都中央区築地)における放射線量測定結果』 http://www.ncc.go.jp/jp/information/sokutei.htmlだ。このデータは、3月13日から1日に2、3回、東京都中央区の国立がん研究センター中央病院屋上の放射線量を測定したもの。また、3月21日からは水道水、雨水についての放射線量も測定している。
このデータについて解説した国立がん研究センター中央病院放射線診断科長の荒井保明氏が強調したのが2点。一つはGMサーベイメータによる計測で、3月 15日の夕方に屋上 南向きで350cpmを検出したのを最高として、以後、それを上回る値が出ていないこと。もう一つは、屋上地面1cm(コンクリート製)の計測で3月24 日に1462cp mまで上昇したものの、以降は減弱が見られていることだ。
後者に関して嘉山氏は、「屋上はコンクリートでできており、放射性物質がたまっていく。半減期が長いセシウムが飛んできていれば、放射線量が増加するは ず。24日を最高点 にして下がり始めているということは、現時点では継続的なセシウム飛散はないと推測される」と指摘。このデータが緊急記者会見を開くきっかけとなったと述 べた。
1000mSvで喫煙と同じリスク
記者会見では、がん対策情報センターがん情報・統計部長の祖父江友孝氏から、広島、長崎の原爆被ばく者の追跡調査から得られた知見も紹介された。この追跡 調査は、「日本人 を対象として長期にわたる被ばくの影響を見た最も信頼されているデータ」(祖父江氏)とされている。
広島、長崎の原爆被ばく者では、200mSv(ミリシーベルト)以上の線量で固形がんの発がんリスクが直線的に上昇している。成人が1000 mSvを一度に被ばくすると、全固形がんの発がんリスクは約1.6倍に増加する。これは「非喫煙者に比べた喫煙者のリスク増加とほぼ同程度」と祖父江氏。 国立がん研究セン ター中央病院放射線治療科長の伊丹純氏も「チェルノブイリ事故からも1000 mSv以上の放射線を浴びると、白血病や白内障の罹患率が上昇することが示唆されている」と指摘した(国連科学委員会の2008年の報告を参照、同セン ターのホームページ PDF:420.23KB http://www.ncc.go.jp/jp/information/pdf/shiryo1.pdf)。
一方、200mSv以下の低線量域では広島、長崎の被ばく者において発がんリスクの統計的に有意な増加は見られていない。低線量域でも直線的関係が成り 立っていると仮定す ると、100mSvで1.06倍に上昇する計算になる。祖父江氏は「原爆は1回の瞬時被ばく。じわじわ被ばくする場合は、身体の修復機能も働くので、発が んリスクはさらに 低下するだろう。100mSvでも最大この程度と捉えていただきたい」と解説した。
また、荒井氏は金町浄水場(東京都葛飾区)で検出された放射性ヨウ素131について、「3月22日は210ベクレルで、約216L飲めば1mSv。26日 の34ベクレルで あれば、1mSvに達するために約1300Lが必要」と現状の安全性を強調。「ただし、乳幼児の甲状腺の被ばくは例外」と述べ、乳幼児には慎重な対応が求 められると解説し た。
放射性ヨウ素131による乳幼児の甲状腺がんは、チェルノブイリ事故で強く印象に残った出来事。被ばく時に子どもまたは青年だった人で、今まで6000人 以上の甲状腺がん が発生している。ただし、伊丹氏は「死亡しているのは2005年時点で15人」と悪性度の低いがんであることを指摘し、さらに「迅速な対応が取られなかっ たため、被害が大 きくなった」と初動の不備が招いた事態であることを強調した。ここで言う対応とは、ヨウ化カリウム服用のこと。伊丹氏はヨウ化カリウム服用のタイミングを 100mSv以上 の被ばく前とし、「今の時点では服用の必要はない」と説明した。
原子炉で作業する予定があるなど、被ばくのリスクがある人に対しては、作業従事前の「自己末梢血幹細胞保存」を推奨。これは、G-CSFを用いて白血球を 増加させ、アフェ レーシス装置で採取した末梢血幹細胞を冷凍保存しておくもの。被ばくによって造血機能が低下した場合、これを点滴することで安全に造血機能を回復できる。 嘉山氏は「この問 題は長期戦になるだろう。だから自己末梢血幹細胞保存を提案した」と語った。

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