安達秀樹氏(京都府医師会副会長)にはとても共感が出来る。

中央社会保険医療協議会

中医協、2010年度改定への意見書提出を断念
議論は2時間中断も、診療側の反対で合意に至らず
2009年12月9日 村山みのり(m3.com編集部)
 12月9日、中医協総会において取りまとめられる予定だった中医協の2010年度診療報酬改定へ向けた意見書は、診療側・支払側の意見が合致せず、今回は提出しないこととなった。前回(4日)の総会で公益側が提示した意見書案について、診療側は「医療費の全体的底上げを明記すべき」として合意せず(詳細は医療維新参照)、今日修正案を提出した。これに対し支払側は「この段階で新たな意見書が出てくるのは遺憾」と批判し、その後の議論でもお互いの意見は一致しなかった。修正案を受けて公益側が再作成した意見書案にも診療側が主張する「診療報酬全体の引き上げ」は盛り込まれなかったため、診療側は前回に続き同意を拒否。公益側は「意見の集約は不可能」と判断し、1号側(支払側)・2号側(診療側)双方の合意の下に、今回は中医協としての診療報酬改定についての意見具申は行わないこととなった。
  診療側委員が提出した修正案では、改定への中医協の意見に以下4点を記載することが要望された。
 (1) 地域の医療体制の確保の取組みとして、主に病院に対する支援を行う観点からの対応が取られたが、社会保障費の伸びの削減政策の下で策定された診療報酬上の対応は充分ではなく、結果として、主に公私を問わず病院の経営状態の悪化はより深刻となっており、医療提供体制の破綻が危惧される。
 (2) 現下の厳しい状況に対応するためには、「更なる取組みが必要」という基本認識の一致に基づいて、薬価引き下げ分を含む診療報酬全体の引き上げが必要である。
 (3) 診療報酬引き上げによる各保険者の財政悪化に対しては、政策的財政支援が必要である。
 (4) 特定機能病院、自治体病院等の医療に要する費用については、医療費以外の公費で賄われている部分を明確化し、医療費で賄われるようにすべきである。
 この修正案について、安達秀樹氏(京都府医師会副会長)は、「日本の医師は低い医療費の中で、非常に献身的に、義務感を持って医療に当たっていたが、今それが破綻しようとしている。これを改善しなければ、次代を担う若い医師の心が折れてしまう。今後職業として医師を志す若者の数、質にも影響を与え、将来の医療提供体制の維持が困難になる。ここでそのようなことを決めた我々がこの世を去った後に、そういった状況が生じる。我々は後世代に対して責任を持たなければならない」と訴え、社会保障費2200億円削減の政策が撤廃された今、日本の医療提供体制の健全な維持のために診療報酬総体の引き上げが必要だと主張した。また、1号側が引き上げに反対する理由としていた保険者財政の悪化については「政策的財政支援によって対応が可能」とし、「与党民主党は政権公約の中に医療費のOECD平均以上への引き上げを盛り込んだ。これは単純に医療機関へ支援を行うというだけはなく、診療報酬を上げれば当然保険者の負担も増えるので、それへの手当てもきちんと行うことを考慮していなければ、このような公約は出てこないはず。公約に入れたからにはこれについても考えがあったはずだ」と指摘した。
 この修正案提出について、支払側は「11月25日に診療側の意見書を公式に受け取り、議論した。今日新たな意見書が出てくることは誠に遺憾」(白川修二氏・健康保険組合連合会常務理事)、「今日明日にはまとめなければならない中、このような案を出してくるのは、この話し合いをまとめる気がないと通常の交渉では考える」(北村光一氏・日本経団連社会保障委員会医療改革部会部会長代理)と批判。また、内容についても「(1)で病院の経営状態の悪化はより深刻としているが、医療経済実態調査は2008年度改定により、赤字ではあるが赤字幅は改善しているとの認識を持っている。(3)について、中医協は診療報酬の配分を審議する場所であり、政策的財政支援云々は関係ない」(北村氏)と反対した。
 これに対し、西澤寛俊氏(全日本病院協会会長)は「-5.0%が-4.5%になったのを『改善』と言うのか。我々はさらに悪化していると受け止めている」と反論したが、北村氏は「何らかの支援を求めるのであれば、私企業ならまず自助努力を徹底して行えと言われる。単純に支援を求めるべきではない」「問題の根幹は、自らが努力をしないで助けを求めていること。経営者ならやっていけない。現政権は大変努力している。今の状況を見て、何かお願い事をできるような状況とは感じない」とそれを否定した。
 白川氏は「認識が一致しているのは勤務医等の負担の軽減、小児科・産科などへの支援が必要との点であり、それと診療報酬全体の引き上げの必要性とは結びついていない」と指摘。西澤氏は「『国民が望む安全・安心な医療の提供』の実行は、医療費が上がらないとできないというのが我々の認識。1号側はそうではない、内部でやりくりすればできると言うが、私たちは無理だと考えている。財源がない中でやれと言われてもできない」と応じた。
 30分ほどの議論の後、公益側が再度修正案を作成することとなり、一度退席。別室で約2時間に渡り調整を行ったが、結局合意には至らず、再び着席した遠藤久夫会長(学習院大学経済学部教授)が「意見の集約ができなかったため、中医協として診療報酬改定について意見を具申することは行わないこととなった」と発表した。
 なお、会議後の会見によると、中断した2時間のうち、文案の再作成に費やされた時間は15-20分。それを支払側、診療側それぞれに提示し、1号側は細かい文言修正を求めたのみでこれに同意したが、2号側は「診療報酬引き上げ」は依然盛り込まれなかったため、了承を拒否した。支払側への確認に要した時間は約5分で、残りはすべて診療側との話し合いに費やされたという。また、事務局(厚労省)は「意見書が取りまとめられなかった経緯、診療側、支払側が強い意見を持っていたことについて政務三役に報告を行う。意見具申を行わないからといって、中医協としての意見が全く大臣に届けられないということではない」と説明した。診療側は、会議後に調停不調に至った理由について記者会見を行った。

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