医療費の内、診療所が占める割合がどのくらいかを隠して議論するのは悪意が感じられる。

11/20号 来春改定は3%引き下げの方針、野田財務副大臣

2009年11月20日SonetM3
 野田佳彦・財務副大臣は11月19日の記者会見で、来年度の診療報酬改定で3%程度、引き下げる方針を明らかにしました。薬価等が3%程度の引き下げ、診療報酬本体について野田副大臣は、「診療報酬の全体的な底上げでは、医師不足で悩んでいる診療科に医師が集まる動きにはならないのではないか。報酬の配分の大胆な見直しを行うことが大前提だ」と述べ、ほぼ据え置きで配分の見直しで対応するとしています。
 「3%程度のマイナス」の内訳は、「後発医薬品のある先発医薬品の薬価を、後発医薬品の価格まで引き下げた場合が2%強(約8000億円)、通常の薬価改定分が1.2%」(財務省主計局)。
 同日、財務省は「平成22年度予算編成上の主な個別論点」として、「医療予算について」(PDF:535KB)という資料を公表。これを見ると、今回の発言が、11月11日に行われた行政刷新会議の事業仕分けを反映したものであることが分かります(『医療主要6分野、「予算削減」「要求見送り」「見直し」へ』の記事中の、「2.診療報酬の配分」「3.後発品のある先発品などの薬価見直し」を参照)。勤務医と開業医の報酬の比較や診療科別の収支差額などのデータも、事業仕分けで使用されたものと同じ。
 この資料では、まず基本方針として、「今回の予算編成においては、医療費(診療報酬)の配分を抜本的に見直すことによって、医師不足問題に対応。あわせて薬価を引き下げることによって、国民負担を軽減しながら医療崩壊を食い止め、サービスの充実を目指す」と明記(PDF資料の1ページ)。
 その上で、「医療費が増大すれば、保険料負担増(50%)、患者負担増(14%)という形でただちに国民負担増につながる。例えば、診療報酬を1%引き上げると約3400億円の医療費増となるが、そのうち半額の約1700億円が保険料負担増となる。1%引き下げれば約1700億円の保険料負担減となる」と指摘、「国民負担を増やさずに、医療崩壊を食い止めるべきではないか」としています(PDF資料の2ページ)。
 具体的な改定の方針は下記です。前述の野田副大臣のコメントにあるように、「限られた財源の中で、病院も診療所もそれぞれプラスにすれば、個々の医師にとっては現状がほとんど変わらず、医師不足問題の解消につながらないのではないか」(PDF資料11ページ)というのが、「配分見直し」で改定を進める理由です。
◆診療報酬(本体)の配分見直し - 3つの切り口(PDF資料6ページ)
(1)官民の人件費カットやデフレ傾向の反映
(2)収入が高い診療科の報酬を見直す
(3)開業医の報酬を勤務医と公平になるように見直す
◆ 薬価の見直し-先発品の薬価の引下げ(資料13ページ)
先発品と後発品では成分が同じでも数倍の価格差がある。後発品のある先発品の薬価が後発品の水準まで下がれば、先発品のメリットがなくなり、後発品の普及や、ひいては新薬開発への資源の集中につながる。同時に、医療費を0.8兆円以上節約でき、その分国民負担の軽減になる=改定率で▲数%。
 野田副大臣は、「今後財務省の考えをインターネット上で公開し、国民の議論を求める」とコメントしています。「国民の議論を求める方法について、具体的な仕組みは未定」(財務省主計局)とのことですが、財務省のホームページに「財務行政へのご意見・ご要望の受付」というコーナーがあり、こちらから意見を寄せることが可能です。

このブログの人気の投稿

恐ろしい!またまた「ステトスコープ・チェロ・電鍵」さんのブログより

国立感染症研究所の安井良則主任研究官によれば「来週には全国的な流行と判断される状況」との事です。

あきれ果てる!!また「ステトスコープ・チェロ・電鍵」さんのブログから引用。